Franklin Planner Time Management Magazine

2025.01.30

スタートアップは時間が命。スタートアップのタイム・マネジメントとは

日本でのスタートアップは、海外と比較すると少ない状況ではありつつも、過去10年間で大きな発展を遂げているようです。直近のスタートアップ向け投資額は約8000億円に上り、10年前と比較して約10倍に拡大していると言われています。 国をあげての取り組みもあって、ようやく、活況を見せつつある日本のスタートアップですが、ここでは、スタートアップを考える、あるいは実際に動き出している人たちの時間管理について考えてみたいと思います。

日本でのスタートアップ*は、海外と比較すると少ない状況ではありつつも、過去10年間で大きな発展を遂げているようです。直近のスタートアップ向け投資額は約8000億円に上り、10年前と比較して約10倍に拡大していると言われています。

国は、2022年11月「スタートアップ創出元年」宣言を受けて、「スタートアップ育成5か年計画」をまとめ、5年後の 2027 年度に 10 倍を超える規模(10 兆円規模)とすることを目標に掲げて、官民一体で取組を進めていくとしました。また、将来においては、ユニコーンを 100 社、スタートアップを 10 万社創出することにより、日本がアジア最大のスタートアップハブとして世界有数のスタートアップの集積地になることを目指すとしました。

*革新的な技術やアイデアを強みに、新しいビジネスモデルを構築して成長を目指す企業や組織、プロジェクト

国をあげての取り組みもあって、ようやく、活況を見せつつある日本のスタートアップですが、ここでは、スタートアップを考える、あるいは実際に動き出している人たちの時間管理について考えてみたいと思います。

スタートアップを考える、あるいは始めている人は、会社勤めのビジネス・パーソンと比較すれば、やることは山のようにあり、いくら時間があっても足りないという状況でしょう。そういう意味では、もっとも時間管理の技術が必要とされる人たちだとも言えます。

そこで注意しておきたい時間管理上のポイントを紹介します。

【ビジョン】

・ビジョンや目標は必ず言語化して書いておく

スタートアップを考えているということは、ビジョンという意味では、ある程度のものをすでに持っていると思います。現在の仕事の延長線上かもしれませんし、まったく新しいビジネスへの挑戦かもしれません。

大切なことは、必ず言語化し、文章にしておくことです。自分が目指しているのはどのような状態か、何が達成できればゴールと言えるのかについて、書き留めておきます。そして、毎日眺め、修正、追記、補足を繰り返していきます。この作業が、新しい戦略へとつながっていきます。

・方向性を見失わないためのガイドラインを明確にする

ビジョンの実現のためには、いろいろな計画が必要となります。どのようにビジョンに向かうのかを考えるわけです。この計画は成功のためならなんでも良いかというと、そうではありません。目標達成のために、手段を選ばずに実行してしまうと、あとで大きなトラブルになることもあります。

計画を立てるにあたっては、行動を起こす上でのガイドラインを設定するようにしましょう。このルールや価値観は必ず守りながら進めるという、実行のための指針を設定しておけば、正しい方法で、ビジョンの実現へと向かうことができるでしょう。

【実行】

・計画は柔軟に。代替タスクを準備する

ドラッカーが、「計画とは、明日への指針であって、変更不能な原則ではない。活用すべき手段である。あくまでも手段であり、変更は宿命である。計画は、現実に合わせて柔軟に対応することが求められる。そのうえ、過去も現在も未来も縛らないものでなければならない」と語るように、計画は計画であり、計画だけで実現することはありません。

計画に固執するあまりに、チャンスを見逃してしまったり、ボトルネックが解消できずに、結局頓挫してしまったりすることは、よくあることです。

環境や状況は刻々と変化します。あくまで計画は計画なのであり、柔軟に対応することが重要です。計画変更は、むしろ当たり前です。

・タスクを細分化し、実行もれを防ぐ

スタートアップに限ったことではありませんが、タスクを実行する際は、できる限り小さく細分化することです。やるべきことが明確で、すぐに実行に移せるまで具体的に細分化します。できれば、集中力が途切れない、15分~20分程度で完了するぐらいの大きさにしておくと良いでしょう。

その際に、できるかぎり実行すべきタスクはすべて書き出しておきましょう。

また、タスクを実行すれば、次のタスクが生まれます。次にするべきことが新しく生まれたら、すぐに、いつ行うのか、日時を決めましょう。

・考えるよりも行動する

頭でどれだけ考えていても、何も進捗することはなく、社会は何も変化しません。あくまで、プロジェクトを動かし、周囲に影響を与えるのは行動です。

行動すれば状況は変わり、新しいタスクが生まれることもあるでしょう。考えているうちに、状況が変わってしまったということがないようにしたいものです。

・アポイントメント・スケジュール

スタートアップのプランニングやシミュレーションは、独自のアイデアですから、大切にしすぎて、どうしても一人で抱え込みがちになります。

これから、新しいビジネスをローンチして、収益を上げていくためには、顧客、周囲の協力、ビジネスパートナーの存在を欠かすことはできません。

早い段階から、キーパーソンになりそうな人たちとの面談、ミーティングは、どんどん入れていくべきです。そこで貴重な意見をもらえることもあるかもしれません。

【プロセス】

・ボトルネックを生み出さないようにプロセスに注意する

スタートアップは、多様なタスクや手続き、多方面でのネットワークが必要となり、何かができなかったために、その先に進めないという、いわゆるボトルネックが起こる可能性が高くなります。

プロジェクトを計画するときは、タスクとタスクの結びつきを意識し、ボトルネックが起こりそうなところは前もって準備しておくことも大切です。

・マイルストーンはミニプロジェクト化し、進捗を実感する

実際に前に進んでいる、ゴールに近づいていることを実感することはとても大切なことです。あまりにも遠い目標はモチベーションを保ち続けることが難しくなりますので、マイルストーンごとに達成感を味わい、前進しているという実感を得ることで、モチベーションを保ち続けることにもつながります。小さな成功を大切にし、大きな目標達成を目指しましょう。

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