
2025.06.16
タイムリッチになるために。準備が結果を決める??
リンカーンは「木を切るのに6時間使えるなら、そのうち最初の4時間は斧を研ぐために使う」と語ったと言われています。また、孫子は「勝敗は戦う前に決まっている」と述べています。 いずれも、結果は事前の準備や段取りによって左右されることを表したものですが、この考え方は現在でも当てはまるのでしょうか。
リンカーンは「木を切るのに6時間使えるなら、そのうち最初の4時間は斧を研ぐために使う」と語ったと言われています。また、孫子は「勝敗は戦う前に決まっている」と述べています。
いずれも、結果は事前の準備や段取りによって左右されることを表したものですが、この考え方は現在でも当てはまるのでしょうか。
「斧を研ぐ」とは具体的にどのような活動を指すのかと言えば、「実際に作業にとりかかかる前の準備」「大切なプレゼンテーションの準備」「作業を行うにあたってのソフトウェアやPCの状態の確認」「企画書を作成するための資料の準備」「アウトプットのための情報や知識の収集」などの仕事をする上で自分自身の確認事項もあれば、「上司や関係各署との事前の調整や根回し」「最終顧客のニーズの再確認」といった、周囲の人たちに関する準備もあります。むしろ、こちらのほうが重要な準備と思う人も多いでしょう。また、自分自身の体調を整えるといったことも「斧を研ぐ」活動のひとつと言えます。
「斧を研ぐ」とは、こうした「準備」という側面もありますが、本質的には、自分自身の切れ味を増すための時間という意味ですから、より多くの仕事、結果を出すために能力を高め、成長するという側面のほうがより重要と言えます。
段取り七分に仕事三分
「段取り七分に仕事三分」という、ビジネスの格言があります。「段取りがうまくできれば、仕事の7割は終わったと言える」ということですが、「8対2の法則」で語られることもあります。間違える人は少ないと思いますが、決して全体の7割の時間を準備に使えと言っているわけではありません。
当然、大きなプロジェクトや大型の商談、プレゼンテーションにおいては、誰でも入念な準備を重ねるでしょう。ここぞというプレゼンテーションのときには、リハーサルを行うことも少なくありません。
しかし、普段の仕事においてはいかがでしょうか。仕事上での時間のロスやトラブル、アクシデントは、大半の場合、段取りや準備の不足によるものです。
最近、無駄だと感じた仕事や失敗した仕事、クレームを受けてしまった仕事を思い出して、その原因はどこにあったか考えてみましょう。やり直しや資料探しといった無駄な時間というのは、想定外のことが起きてしまったときに起こりますから、大半は準備不足、段取り不足が招いてしまったことではないでしょうか。トラブルやアクシデント、クレームも、想定不足や準備不足からもたらされることが大半です。つまり、準備をおっくうがらずに、さまざまな想定をしておくことで、多くののトラブルは防ぐことができます。仮に予定外のことが起きたとしても、徹底した準備ができていれば、堂々と焦ることなく冷静に対処することも可能です。
まず実行する?
計画や準備の大切さは当然という一方で、昨今のビジネスはスピードが命という面も少なくなく、入念に準備をしているうちに、状況が変わってしまうということもあります。
あくまでケースバイケースではありますが、特に、事前に検討を重ねても正解が見出しにくい、さまざまな方法が考えられるといった状況では、まずトライすることも必要なケースがあります。結果が見えにくい、どうなるかわからない、といって実行をためらってしまうとみすみすチャンスを逃がしてしまうことにつながりかねません。
現代のように、課題が複雑化し、正解がない世界においては、まずやってみるという姿勢がより重要だと考える人が増えています。実際にやりながら、軌道修正し、少しずつ顧客の本質的なニーズに合わせていくわけです。ITの世界においても、最初に要件を決めて開発に取り掛かるウォーターフォール型の開発から、開発を行いながら軌道修正を行っていくアジャイル型開発のスタイルに移行している流れにあるようです。
そうなると、大切なことは、実際に行ったあとの「見直し・分析・改善」ということになります。行ったことが無駄にならないような振り返りが、次の成功のノウハウにつながります。
「段取り三部、仕事二部、振り返り二部、改善活動三部」を繰り返す
「見直し・分析・改善」という振り返りは次の仕事の成功に向けての可能性につながります。振り返りを重視することで、何より仕事が「自分ごと化」します。
そういう意味では、「段取り七部、仕事三部」よりも「段取り三部、仕事二部、振り返り二部、改善活動三部」を繰り返すほうが、はるかに大きな成果になるケースが増えています。
仕事は多くの場合、一人ではなく、チームとして対応しますし、結果は環境に左右されることも多いため、実際に自分ひとりが与える力は少ないかもしれませんが、「目標としていた結果に対してどうだったのか」「うまくいった要因、うまくいかなかった要因」「自分の活動で改善すべきところは何か」を分析し、そして、まさに「斧を研ぐ」活動である「改善活動」、「スキルアップや重要人物とのコミュニケーション」などに時間を割くべきです。
今週の計画を立てる際に、「段取り三部、仕事二部、振り返り二部、改善活動三部」を意識してはいかがでしょうか。